君は往ぬれど







君は往ぬれど 季節は巡り

記憶は重(しけ)き 埋もれてゆく

涙堪えど 思いは溢れ

戻らぬ日々に袖を振る


白い季節、君の肩に落ちた雪が溶けたこと

緑の萌ゆる朝の風、吹かれながら会いに行ったこと


流れる季節その分だけ君と過ごす時間を積んだ

笑顔溢れ触れ合う度に、失くすことが怖くなった


空の幽(かそけ)さ、かわたれ時の

新たな朝が転(うたて)しくて

乞い願えども叶わなくて、聴こえぬ声に耳を澄ます


手を繋いで君と歩いた道を独り、巡り歩く

待ち侘びていた紅(くれない)の花、悲しいほどに美しく咲いた


流れる季節、その分だけ君の居た日々は遠のいて

苦しい時傍に居たぬくもりを恋うようになった


君は往ぬれど 季節は巡り

記憶は重き 埋もれてゆく

涙堪えど 思いは溢れ

戻らぬ日々に思い馳せる


「共に行こう」

約束をしたあの場所は今も綺麗で

あの日の君を思い出すから今では転しくて……


指先に触れた冷たさに戻らぬ日々を、無常の風を

知らされて尚、思いは溢れ、見えない姿に目を凝らす


君は逝ぬれど 季節は巡り

記憶は重き 埋もれてゆく

「笑っていて」と微笑む君の

記憶の中の君に逢いたくて

目を閉じて、今祈るよ

 




音声ソフト「UTAU(重音テト)」を使用してます。